介護職は将来性がない?業界の現状と未来について解説
これから介護職として働きたい、もしくは現在介護職として働いている人にとって、業界や職種の将来性は常に気になるものです。
介護職を取り巻く現状や問題点を整理し、今後の将来性について検討ができるよう解説をしていきます。
介護職の将来性がないと思われる理由
給与、平均年収が低い
介護職に将来性がないと言われる一番大きな理由に、給与問題があります。
全産業の平均年収に比べて、介護業界の平均年収は低い水準となっております。
平均年収 | 約363万円 |
平均月収 | 約26万円 |
平均賞与額 | 約54万円 |
平均年齢 | 44.2歳 |
勤続年数 | 約8年 |
介護士の平均年収、平均月収は上記のようなデータが出ております。
また、実力や成果主義というよりは、勤続年数や所持資格に応じで給料のベースが上がることがほとんどですので、性格的にもどかしく感じる方はいることでしょう。
働き方の問題
介護業界の働き方としましては、労働集約型産業と呼ばれるもので、お金や機械・設備よりも、人間の手による仕事量が多い産業です。
人間の労働力への依存度が高く、売り上げを伸ばすためには、それに応じた人員が必要な産業です。
労働集約型産業の特徴としては、賃金が低いことにはじめ、効率が悪い、離職率が高いなどの要素が挙げられます。
便利なWEBツールや、設備を導入している事業所はまだよいですが、そうでな事業所の場合は、労働時間が長くなったり、残業が増えたりと労働環境に不満を持ちやすい悪循環を生んでしまうことにつながります。
介護業界は、ご利用者さんを相手にする仕事ですので、イレギュラーなことも多く、なかなか効率化が進まないことも将来性がないと捉えられてします理由の一つです。
仕事のステップアップや評価が見えづらい
介護職は、無資格、未経験からも始めることができるので、挑戦をするハードルは低いと言えるでしょう。
そこから、時間をかけ介護福祉士の資格を取得するところまでは、ステップアップを目指す方が多いのですが、そこからさらにとなると、ケアマネージャーや管理者といった、介護現場を離れるステップアップが基本になります。
介護士としては、さまざまな資格を取得したり、別の施設形態で経験を積むなどの方法もありますが、それが評価や給与アップに直結するかと言われると、そうではないのが難しい問題です。
介護職の現状と問題点
介護現場の実態
2011年から日本は人口減少しています。
そのため、介護人材が集まらない現状に拍車をかけている状態です。
介護職の担い手を増やそうと国としても、処遇改善手当の支給や、介護職の給料のベースアップを施策として打ち出している状況です。
また、介護職の担い手は、日本人だけでなく外国人にまで広がっております。
日本在住の外国人の方や、海外から日本で働きたい外国人からも人材確保をしている状況で、志願者は年々増加しております。
ベトナム、フィリピン、インドネシア、ミャンマーなどの東南アジア系の国籍の方を中心に、介護士もグローバル化が進んでいるのが実態です。
待遇や働き方の問題点
介護職の待遇は、主に資格取得や勤続年数に応じてわかりやすく上がっていきます。
正社員とパート時の給料の表を載せる
働き方は、介護職の場合、おもに早出、日勤、遅出、夜勤という4シフトに分かれております。
また、介護施設は24時間365日稼働しておりますので、土日祝も関係なく、出勤する必要があります。
生活リズムが安定しなかったり、家族や友人と休みの日が合わないという理由から、介護職を志望する人が少ないという現状もあります。
介護職が将来性のある仕事である理由
正社員での採用率が高い
介護職は、早出、日勤、遅出、夜勤という4シフトに加え、土日祝関係なく出勤日があるという現状です。
勤務時間や勤務曜日の条件が許容範囲内であれば、正社員で応募をすることが可能です。
もちろん、介護資格や経験があった方が転職の成功率は高まりますが、応募の際は資格や経験がなくても大丈夫です。
一般的には、みんなが働きたがらない勤務条件ですので、正社員を目指す方が貴重な存在であることから、正社員希望の方は優遇される可能性が高いです。
処遇改善加算など国全体で介護職の待遇を上げる動きがある
介護職は、国の施策で給付金がもらえたり、処遇改善手当が引き上げられたりなど、定期的に賃金も見直しが行われております。
日本という国が、超高齢化社会になっていくことで、介護の担い手を何とかして確保しなければいけないという、国の強い意志も感じます。
なくなることがない業界だと言われている
日本は高齢化社会になっていきますので、高齢者の数が今後どんどん増えていきます。
それに伴い、介護施設の数や需要も高まりますので、基本的はなくなることがない業界と言われています。
ただし、肉体労働という点においては、自身の体の健康には十分注意する必要があります。
知識や経験を積んでいけば、ずっと仕事をつづけることはできます。
廃れない介護資格の有用性
介護福祉士や、介護職員実務者研修、介護職員初任者研修といった介護資格は、基本的には一度取得してしまえばブランクがあったとしても活用できる資格です。
なかでも介護福祉士の資格は、国家資格ですので、業界からの信頼性は厚いです。
また、有資格者、介護経験者というのは、人材不足の中、職場内では頼もしい存在です。
無駄になることがない介護資格、経験という価値は十分に手に入れることが可能です。
介護職のやりがいや魅力
常に感謝される仕事であること
介護職は介助をするという立場上、常に感謝をされる立場にあります。
「ありがとう」「助かった」など、日常的に感謝をされますので、頑張ってよかったというやりがいにつながります。
ご利用者さんだけでなく、一緒に働くスタッフに感謝される場面も多いので、気持ちよく働ける環境があるでしょう。
チームで一体感をもって働けること
働いているスタッフ全員でご利用者さんが安心、安全に暮らせるサポートをするという共通の目標があるため、皆が同じ目標に向かって仕事をしやすい環境です。
また、1人で仕事をすることは少なく、常にだれかと協力しながら介助をします。
そのため、仲間意識が芽生えやすかったり、チームとしての一体感が深まったりします。
人や社会の役に立てる仕事だということ
介護職は、1人で生活するのが困難な方の日常生活を守る大事な役割があります。
介護職は常に人手不足の状態である一方で、常に社会から必要とされている職業です。
直接お礼を言われる機会も多いので、人や社会の役に立てていると実感しやすいのもやりがいにつながります。
これから介護職に転職する際に必要な資格と準備
介護職の仕事内容を知る
介護士の仕事内容は、ひとことでいえば「ひとりで身の回りのことをするのが難しい人の介助」です。
人のお世話をする仕事ですので、介護士は大変な仕事ですが、同時にやりがいを感じる場面の多い仕事でもあります。
具体的には、食事介助、入浴介助、排泄介助、着替え、口腔ケアなど身の回りの生活サポートも含めて多岐にわたります。
また、身体機能を維持すると同時に、楽しく過ごしてもらうためのレクリエーションも行います。
食事介助
ひとりで食事ができなかったり、うまく飲み込めなかったりする人に対して、食事を介助します。
一人ひとりの食べるスピードに合わせるほか、誤嚥(ごえん)にも十分配慮してサポートすることが重要です。
また、自分で歯磨きができない人に対しては、食事の後に口の中をきれいにする口腔ケアも行います。
入浴介助
体をきれいにすると同時に、気持ちよさを感じてリラックスしてもらえるような介助が求められます。
介護施設には、私たちが普段使うような個浴と、体の不自由な人にも対応している機械浴の大きく2種類があります。
石鹸などで滑りやすくなるため事故に十分注意する、体温や血圧の変化を細かくチェックするなどの配慮も必要です。
排泄介助
トイレでの排泄介助のほか、おむつ交換などがあります。
どちらにしても、介助される側にとっては恥ずかしさを感じる行為なので、相手の立場に立った対応が大切です。
着替えの介助
入浴の前後や、食事・排泄などで衣服が汚れた際の着替えをサポートします。
また、自分で体を動かすことができない人もいますので、そういった方の着替えの介助も含まれます。
手足が思うように動かない人に対しては、袖を通したり下着やズボンを穿かせたりする際に、とくに注意しなければなりません。
レクリエーション
体を動かすことで身体機能の維持や、衰えた機能の回復を促すことも介護士の仕事のひとつです。
簡単な体操、折り紙、工作、習字など、体や指先を使ったレクリエーションのほか、歌やゲームなど、周囲の人とのコミュニケーションを図れるようなものを考えたり、指導したりします。
働ける職場の種類を知る
介護士の職場としては、高齢者施設、訪問系の介護、病院に大きく分かれます。
中には、資格を所持していないと働くことができない職場や、介護サービスがありますので、応募の際は事前にチェックしておくのが良いでしょう。
ただし、無資格未経験で働けるかどうかは、募集要項によりますし、採用枠も少ないのが現状です。
無資格でも働ける職場を見つけたら、早めに応募するかどうかを検討した方が良いですね。
無資格でも働くことができる施設
- 特別養護老人ホーム
- 養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 有料老人ホーム(介護付き有料老人ホーム)
- グループホーム
- デイサービス
- 病院
資格がないと働けない施設
- 有料老人ホーム(住宅型有料老人ホーム)
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- 訪問介護事業所
- 小規模多機能型居宅介護
介護資格の種類や取得方法を知る
介護の仕事を始めるにあたっては介護資格は絶対に必要なものではありません。
しかし、介護資格を持っていないと働くことができない職場、対応できない仕事内容がありますので、できるだけ早く資格取得を目指すことをおすすめします。
無資格、未経験からでも取得できて、キャリアアップや給料アップにつながる資格の取得方法をお伝えいたします。
介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)
▼研修期間▼
1ヶ月~4ヶ月(約130時間)
▼受験資格▼
特になし
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)は、介護業界でこれから働こうと考えているのであれば、まず取得してほしい資格です。
資格を取得するための資格要件はなく、取得期間も短期で可能なことから、すぐに取得ができる介護資格です。
また、厚生労働省のページを確認すると、介護職員初任者研修の目的は下記のようになっております。
介護職員初任者研修は、介護に携わる者が、業務を遂行する上で最低限の知識・技術とそれを実践する際の考え方のプロセスを身につけ、基本的な介護業務を行うことができるようにすることを目的として行われるものである。
実務者研修(ホームヘルパー1級)
▼研修期間▼
2ヶ月~6ヶ月(約450時間)
▼受験資格▼
特になし(初任者研修を持っていると有利)
実務者研修は、介護福祉士になるために必要な資格ですので、キャリアアップにおいて重要な位置づけの資格です。
資格要件は特にありませんが、研修内容が介護現場の実務的な内容が中心になるため、介護未経験の方であれば、先に初任者研修の資格を取得することをおすすめします。
また、初任者研修の資格を持っていることで、約130時間分の研修時間が免除されます。
資格取得に関して気になる方は、下記の記事も参考にしてみてください。
介護職の将来像と未来予想
人手不足と技術革新の影響
介護業界はIT化が遅れている業界とは言われております。
これは、介護の仕事が労働集約型産業と言われ、労働力に依存している特色が強いためです。
ですが、今後は介護ロボットの普及や、記録業務、データ入力の効率化などが進んでいくことにより、残業時間が減ったり、人的負担が軽くなったりすることが見込まれます。
業界全体としての方向性と対策
処遇改善加算や、処遇手当など、国としての施策もあり、介護職の給与は少しずつですが年々上昇しております。
今後も、国の支援がストップすることは考えにくいので、改善される方向性に進んでいくことは間違いないでしょう。
人材不足の問題については、よりグローバル化が進んでいくことが予想されます。
日本人の人口減少は止まることがないとするならば、海外人材、外国人の方の力を借りるほかありません。
現在も、外国人介護士の数は年々増えており、介護福祉士の資格を所持していたり、日本語も堪能な方が増えていたりと、外国人介護士のレベルが向上しております。
コミュニケーションや、チームワーク、連携を密にとった働き方が、より求められてくるでしょう。
介護職は将来性がない仕事ではない
介護職は、今後もニーズが高まる職種です。
人や社会の役に立っているという実感を持つことができますし、いなくてはならない存在となっていくでしょう。
介護資格を取得することで、すぐにキャリアアップを目指すことができますので、介護職に少しでも興味のある方は、ぜひ挑戦してみてください。